今回は、心理療法・カウンセリングの流れをより詳しくお伝えしたいと思います。心理療法・カウンセリングは理論や方法が多数あるため、それぞれで微妙に違う点もあります。ただ、どのような理論や方法であっても、以下の流れは共通しているかと思われます。
目次:簡略化すると以下の流れが基本になります。項目ごとの詳しい説明は下段にあります。気になるところからお読みいただいても結構です。
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(3) 今後のビジョン(目標)と当オフィスにできることのすり合わせ
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(4)今後のビジョン(目標)のためにケアを要するトラウマの具体化、あるいは お悩みの具体化
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(5)心理療法、またはカウンセリングの方法の選択(実施)
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(6)数回ごとに効果やニーズの確認、および必要に応じて方法の再検討と選択
以上の流れは、矢印のとおり一方向に進むとは限りません。行ったり来たり、途中で立ち止まったりすることもよくあります。進み方に関して絶対こうなる、ということはありません。
なお、特に大事なのは(1)~(4)です。早く進めようとするよりもこの段階を丁寧に取り組んだ方が、進行が着実なものになりやすいです。
それぞれの段階について、以下詳しくお伝えしたいと思います。
(1)悩みの内容、経緯の把握
まずはお悩みの内容を把握し、覚えている範囲でお悩みが起こるようになった経緯(きっかけ)をうかがいます。
直近の経緯をうかがいつつ、生い立ちもうかがいます。
というのも、現在のお悩みが幼少期からの積み重ねであることもよくあるためです。
最初から全てを詳細にお話できなくても平気です。この段階では、大まかに覚えている範囲で構いません。
(2)状態や状況についてのアセスメント
どのような悩みであっても、共通して大切なことはアセスメントです。(1)の段階で悩みやその経過、生い立ちを確認しながら、まずは心理療法・カウンセリングを実施できるかどうか、気持ちの準備が整っているか、などを把握させていただきます。
この時点で、身の安全を確保することなど、環境の調整を優先した方が良い場合もありますし、医療機関への受診が必要な状態の場合もあります。
その場合は、心理療法・カウンセリングよりも身の安全を確保することや医療機関への受診が優先であることをお伝えいたします。
そこまでではなくても、心理療法・カウンセリングを継続することにためらいが強い場合も、無理に心理療法・カウンセリングを行わない方が良いでしょう。
継続しても平気な状態と考えられる場合、次の段階として、今の悩みがどのような仕組みで起こっているのか、ということについて仮説を立てます。同時に、今後どのような自分になりたいかというビジョンも立てていきます。
(3)なりたいビジョンと提供できることのすり合わせ
なりたいビジョンが明確になってきたら、心理療法・カウンセリングで改善が見込めること、逆に心理療法・カウンセリングだけでは改善が難しそうなことなどもお伝えいたします。
どの程度の頻度で通うことができるかによっても異なります。通える頻度に合わせて可能なこと、難しいことなどもお伝えいたします。
(4)トラウマの具体化、あるいは お悩みの具体化
トラウマケアの場合、どのようなトラウマがあるかを自覚している場合は、そのトラウマをある程度明確にすることから始められますし、トラウマがすぐにわからない場合であっても、「この悩みはどこからきているのかな」、という探索的なカウンセリングを行うこともできます。
その上で、ケアが必要そうなトラウマを整理して、具体的な方法と方向性を定めていくこともできます。
不安障害をはじめとした心身の悩みのケアの場合は、何がネックになっているのかを具体化していきます。
(5)心理療法、またはカウンセリングの方法の選択(実施)
上記(4)に加えて、その方の性格や考え方も踏まえて、最も効果的と考えられる方法を決めていきます。
どのような方法が良いか、方法ごとのメリット、デメリット、期待できる効果などをお伝えし話し合いながら決めていきます。私からもご提案しますが、その方の直観も大切にしていただいております。
(6)その都度効果やニーズの確認、および必要に応じて方法の再検討と選択
選択した方法を実施していきながら、その都度効果や、受けてみての感触をうかがいます。
感触というのは、ある程度続けてみて良さそうかな、というものです。
もし選択した方法でしっくりこない場合、この時点で別の方法に変えてみることもできます。
ただし、ある程度続けてみないと効果がわからない場合もあり、その場合はお伝えした上で、続けるかどうかを検討することもができます。
また「ニーズの確認」と記載させていただきましたが、ニーズを確認させていただくのは、実施している途中で新たなことに気づいたり、お悩みへの見方が変わって目指したいビジョンが変わることもあるからです。
もし目指したいビジョンが変わったのであれば、やはり方法を再検討し変えることも検討します。
例えば、お悩みの根本が見えてきて、なりたい自分のビジョンが変わる場合もありますし、トラウマケアに取り組んでいるものの、習慣的になっている心身の悩みをどうにかしたい、となることもあり得ます。
その逆もあって、習慣的になっている心身の悩みに取り組んでいたものの、トラウマがあることに気がつくという場合もあります。
いずれにせよ、とにかく進めれば良いというものではなく、一見遠回りなようでも、その都度、今もっている悩みがどのようなもので、自分がどこを目指したら良いのか、ということに立ち戻ることも、本質的な改善を目指すために大切です。
そのため、行ったり来たりしていると遠回りしているように思えますが、それでも心理療法・カウンセリングは進行している場合があります。
例えば、心理療法・カウンセリングが進むと、気づかないうちに最初の悩みにこだわらなり、より本質的な悩みに目が向くようになることもあるからです。
そうなれば、ニーズや目標が変わるでしょう。
仮に滞っていたとしても、どこがひっかかっているのかを考えるきっかけとなり、進行を図るためのヒントになります。
(7)終了または新たなテーマへの取り組み
どのような進み方であっても、最終的に当初の目的、目指したいビジョンなどが達成されたと思われる段階で終了ということもあれば、新たなテーマが浮かんでくることもあります。
終わらなければいけないわけではありませんし、逆に続けなければいけないわけでもありません。
必要に応じて、継続か終了かご助言させていただくこともございますが、必ずしもその通りにしなければいけないわけではありません。
☆まとめ
カウンセラーによって言葉は異なっても、以上の流れは多くのカウンセラーにとって基本的に共通しているかと思われます。
特に最初の段階のアセスメントと、そのカウンセラーが何ができそうで、何は難しいのか、どこまでであれば目指せるのか、ということを初期の段階である程度話し合うことは非常に重要です。
その部分が明らかに抜けてしまうと、かえって危険な状態になってしまったり、そうでなかったとしてもがっかりしてしまったり場合もあります。
当オフィスではなくても、他のカウンセリング機関でカウンセリングをお受けになられる場合は、以上の基礎的な流れが重視されているか、注目してみるのも良いかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。