トラウマケアとの出会い

 今回のブログでは、私の実践の経歴の中で、なぜトラウマや心身症のケアを実践の中に取り入れようと思ったのか、その経緯についてお伝えしたいと思います。

経歴や基本的なスタンスの概要はホームページのプロフィール欄にも記載しております。すでに目を通された方におかれましては、重複してしまう部分もあるかもしれませんが、ご容赦ください。

目次

①心理療法・カウンセリングの基本的スタンス

②トラウマケアの難しさ

③EMDRとの出会い

④さらなる学び

⑤まとめ

 

心理療法・カウンセリングの基本的スタンス

  プロフィールにも記載いたしましたが、私の心理療法・カウンセリングの基本的なスタンスは、来談された方のお気持ちの流れや心情に沿って耳を傾けつつ、できるだけ自由に自分の気持ちや考えなどを表現していただけるようにお話をうかがうことです。

 お話をうかがいながら、その流れの中で不思議に思うことをお聴きしたり、その時点で予想されることや考えられられることをお伝えしたりすることもあります。

 こうしたスタンスで話し合いを重ねていくと、自ら悩みを解決するための手がかりやヒントに気づき、結果として症状や悩みが解決されたり、緩和されたりする場合もあれば、直接悩みが解決や緩和しなかった場合でも、どのように悩んでいけば良いのか、いつ悩んでいけば良いのかがなど、いわば悩みとの向き合い方が見えてくるパターンもあります。

 悩みとの向き合い方がわかるだけでも、心の負担はだいぶ減り希望が見えてくることが多いものです。

 そのため、基本的なスタンスは心理療法・カウンセリングの現場に入った当初から現在に至るまで大切にしております。

②トラウマケアの難しさ

 基本的なスタンスに基づいた話し合いのカウンセリングにじっくり取り組むと、ある程度の成果が得られることは多々ありました。

 ですが、中には話し合いのカウンセリングだけではどうしても解決や緩和のための糸口が見つからないこと、苦しい気持ちがずっと続いてしまうこと、また、思うように進まないということもありました。

 そうした方のお話をよくうかがうと、過去のトラウマがどうしても消化されずに残って影響しているようでした。

 当初は、それでもじっくりお話に耳を傾けていけば、ご本人の中で消化されやがて統合されていくのではないかと思っていましたが、やはりそううまくいくことはなく、膠着状態から抜け出せず、残念ながら途中で来談されなくなることもありました。

 中には、苦しいはずのトラウマ体験を淡々と語り、「もうそのことは気になっていません」と話す方もいらっしゃいました。

 「気になっていません」と言っているから、もうトラウマは消化されたものとは到底思えず、しかし、当時はどのようにアプローチしたら良いかわからず、戸惑っているうちに「もう大丈夫です」ということで、お力になれず終了せざるを得なかったこともありました。

③EMDRとの出会い

 こうした経験を重ねる中で、基本的なスタンスとして話し合いのカウンセリングも大切だけど、トラウマケアについて専門的に学ぶ必要があると思うようになりました。そこで、基本的なスタンスはそのまま大切にしつつ、トラウマケアの専門的な方法として、EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)のトレーニングを受けたのです。

 もちろんEMDRだけで人生の全ての悩みの解決ができるわけではありませんが、命にかかわるようなショッキングなトラウマ体験(交通事故、暴力や事件の直接的な被害など)や、命にかかわるほどではないものの日常で体験されやすいトラウマ体験(いじめやハラスメント被害、失敗体験、失恋など)、などのケアを促進することでカウンセリングが進行しやすくなり、よりよく生活するための見通しをもてるようになったというお声をいただくことも増えました。

 現在の悩みには何らか過去の体験の影響があるーそう考えるようになった私は、EMDRを積極的に取り入れて実践をするようになりました。

 ただ、次第にトラウマは全てケアしなければいけないわけではないこと、また、現在の悩みの発生のきっかけがトラウマであったとしても、悩みの”維持”には必ずしもトラウマだけが直接関係しているわけではないこと、そもそもEMDRでは負担が大きくなってしまうケースにも出会うようになりました。

④さらなる学び

 例えば、心身症や不安障害など心身の反応が癖となって現れて悩みになっている場合、その悩みのあり方や体の感覚の緩和に有効な方法はないか、また、EMDRでは負担が大きくなってしまう場合であっても、対応できる有効な方法はないかとと考えるようになりました。

 そこで出会った方法が、催眠法に基づいた心理療法や催眠法によらないイメージ療法、あるいはブレインスポッティングという方法でした。

 現在は、上述した言葉のやりとりを通したカウンセリングのスタンスを基本としつつ、EMDR、催眠法に基づいた心理療法、催眠法によらないイメージ療法、ブレインスポッティング、のそれぞれの方法を来談された方の状態、ニーズに応じながら取り入れて心理療法・カウンセリングをご提供させていただいております。

⑤まとめ

 以上が、 なぜトラウマや心身症のケアを実践の中に取り入れようと思ったのか、実践の中で何を学び、考えるようになったのか、ということの概要になります。今でも試行錯誤と新たな学び、自分自身についての振り返りも大切にしながら、実践に取り組んでおります。

 少しでもお悩みの緩和に尽力できたらと思いますので、よろしくお願いいたします。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。