「もしかして、私…?」アダルトチルドレンだと感じたら。原因から克服の全ステップまで専門家が解説

はじめに

「なんだかいつも生きづらいな…」 「周りの人はうまくやっているのに、どうして自分だけなんだろう?」 「仕事も人間関係も、必死に頑張っているのに、心がずっと満たされない…」

そんな長年の生きづらさを感じていませんか?それは、あなたの性格や運命のせいではないかもしれません。その原因は「アダルトチルドレン(AC)」の可能性があります。

この記事では、「生きづらさ」の正体と原因、そして心を軽くするために今日から始められる具体的なセルフケアを解説します。

アダルトチルドレンとは?- あなたの「生きづらさ」の正体

アダルトチルドレンは、病名ではなく「状態」のこと

まず知っておいていただきたいことは、アダルトチルドレンは「うつ病」や「不安障害」のような正式な病名ではない、ということです。

これは、**「子供時代の家庭環境が原因で、大人になっても心の傷やトラウマを抱え、生きづらさを感じている状態」**を指す言葉です。

病気ではないからこそ、特別な誰かの話ではなく、そして、誰でも生き方を修復していくことが可能です。

どうして生まれるの?アダルトチルドレンの背景にある「機能不全家族」

アダルトチルドレンという状態の背景には、多くの場合**「機能不全家族」**の存在があると言われています。

機能不全家族とは端的にお伝えすると、子どもが「家にいると安心するな」「ありのままの自分でいていいんだ」と感じることが難しい家庭環境のことです。

例えば、下のような環境を指します。

  • 親から身体的・精神的に辛いことをされたり、放置されたりした
  • 親がお酒やギャンブルなどにのめり込んでいた
  • 親が厳しすぎたり、逆に何でもやってあげすぎたりして、子どもの気持ちを尊重してくれなかった
  • 親の夫婦仲が悪く、家の中がいつもピリピリしていた
  • 親から「〇〇でなければダメ」と過度な期待をかけられ、結果でしか評価されなかった
  • いつも親の顔色をうかがって、機嫌を損ねないように必死だった

こんな環境で育つと、子どもは自分を守るために、無意識のうちに自分の本当の気持ちや「やりたい!」という欲求に蓋をすることを覚えていきます。その子供時代の「生きるための術」が、大人になってからの「生きづらさ」として姿を現してくるのです。

「私のことかも…」アダルトチルドレンの15の特徴とセルフチェック

少しでも「自分のことかもしれない」と感じたら、セルフチェックをしてみませんか?下記のチェックリストで当てはまるものが多いほど、断定はできるものではありませんが、アダルトチルドレンの傾向があるかもしれません。また、アダルトチルドレンかどうかは別としても、自分のあり方や状態を知る一つの目安になるかもしれません。

【アダルトチルドレンチェック】あなたの心のサインに気づくためのチェックリスト

  1. 人に頼るのがすごく苦手。何でも自分でやらないと気が済まない
  2. 「完璧じゃなきゃ私に価値はない」と思ってしまう
  3. 他人からどう見られているかが、いつも気になって仕方がない
  4. 人に見捨てられるのが、他の人よりもずっと怖い(見捨てられ不安)
  5. 場の空気を読みすぎて、家に帰るとどっと疲れてしまう
  6. 自分が本当に何を感じているのか(特に怒りや悲しみ)がよくわからない
  7. 何か悪いことがあると、すぐに「私が悪いんだ」と自分を責めてしまう
  8. 他人から「すごいね」と褒めてもらわないと安心できない
  9. 恋人など親しい関係になると、わざと相手を困らせたり、急に冷たくしたりしてしまう
  10. どこか地に足がついていないような、フワフワした感覚がある
  11. 楽しいはずなのに、心の底から笑えない自分がいる
  12. 理由もないのに、急に涙があふれてくることがある
  13. 「No」と言えない。断ることに強い罪悪感を感じる
  14. ふと「自分は、本当は何がしたいんだろう?」と分からなくなる
  15. 些細なことで、過去の辛い記憶が鮮明によみがえる(フラッシュバック)

 

あなたはどの役割を演じていましたか?代表的な6つのタイプ

機能不全家族の中で、子どもは無意識に特定の「役割」を演じることで、必死に家族のバランスを取ろうとすることがあります。あなたは、どのタイプだったでしょうか?思い出してみてください。

  • ヒーロー(英雄): 責任感が強く、「良い子」でいることで家族の誇りになろうと頑張る。
  • スケープゴート(身代わり): わざと問題を起こし、「困った子」になることで家族の本当の問題から目をそらさせようとする。
  • ロストチャイルド(いない子): 気配を消し、手のかからない子でいることで、波風を立てないようにする。
  • ケアテイカー(世話役): 親やきょうだいの面倒を見ることで、自分の居場所を確保しようとする。
  • ピエロ(道化師): いつも明るくおどけて、家族の緊張を紛らわそうとするムードメーカー。
  • イネイブラー(支え役): 問題を抱えた親に尽くしすぎて、結果として親の問題を助長してしまう。

どの役割も、子供の時のあなたが生きていくために身につけた、生きていくためのすべだということがいえます。

なぜ「私が悪い」と思ってしまうのか - アダルトチルドレンを育む親子関係の根っこ

アダルトチルドレンの生きづらさの根底には、共通して**「自分はダメな人間だ」「幸せになってはいけない」**という、深く根ざした自己否定感があります。どうして、そのように感じてしまうのでしょうか。

「心の安全基地」がなかったことが、自己肯定感を奪っていく

子どもにとって、おうちや親(または親に代わる養育者)の存在は「心の安全基地」です。何があっても、どんな自分でも、無条件に「おかえり」と受け入れてもらえる。その一定の安心感の中で、子どもは「自分はここにいていいんだ」「自分は大切な存在なんだ」という感覚(自己肯定感)を自然と育んでいきます。

しかし、機能不全家族ではこの安全基地がうまく機能しません。「ありのままの自分」を受け止めてもらえた経験が少ないと、大人になってからも「自分は価値がないんだ」という感覚が、ずっとあなたを苦しめ続けることになってしまうのです。

あなたを縛る、親から受け取った「極端な価値観」

子どもにとって、親の言うことや家庭でのルールはいわば、「世界の常識」となりえます。

例えば、

  • 「親の言うことは絶対」
  • 「弱音を吐くなんて、みっともない」
  • 「あなたは何をやってもダメね」

これらの言葉を繰り返し浴びていると、それが「極端な価値観なんだ」とは気づかないまま、大人になっても自分を厳しく縛る「心のルール」として持ち続けてしまうことがあります。

傷ついた心を癒すために。今日からできる3つのこと

根本的な回復には専門家の力も大切ですが、まずはあなた自身が、あなたの心を少しでも楽にしてあげるために、今日からできることを始めてみませんか?

ステップ1:「また私のせいだ…」その考えに気づいて、距離を置く練習

何か辛いことがあった時反射的に、「また私が悪かったんだ…」と考えていませんか?まずは、その自動的な思考パターンに**「あ、また考えてるな」と気づいてあげること**が、大きな第一歩です。

書くことがご負担でなければ、ノートを用意して、「起きた出来事(事実)」と「その時感じたこと(気持ちや考え)」を、分けて書き出してみてください。事実と感情を少し切り離してあげるだけで、客観的に自分を見つめられ、自動的な自己否定から一歩距離を置けるようになることもあります。

ステップ2:小さな「好き」「嫌い」から、あなたの感覚を取り戻そう

長年、自分の気持ちに蓋をしてきたあなたは、自分が本当に何を感じ、何を望んでいるのか、分からなくなっているかもしれません。

日常の本当にささいなことからで大丈夫です。

  • 「今日のランチは、本当はパスタが食べたいな」
  • 「この服の色、なんだか落ち着かないな」
  • 「今は少しだけ、一人になりたいな」

あなたの小さな「好き」「嫌い」という心の声に耳を澄ませて、それを「そうだね」と認めてあげる。この繰り返しと積み重ねが、失われたあなたの本当の感覚を取り戻す、とても大切な練習になります。

ステップ3:安心できる人間関係のための「心の境界線」を意識してみる

人からのお願いを断れなかったり、相手の機嫌ばかり優先してしまったり…。それは、あなたと他人の間に健全な**「心の境界線(バウンダリー)」**が引けていないサインかもしれません。

境界線を引くというのは、相手を突き放すこととは違います。「これは私の気持ち、それはあなたの気持ち」と健全に分けて考え、自分自身を大切にすることです。まずは、「少し考えさせてください」「ごめんね、今は難しいかな」など、簡単なフレーズから試してみてください。

本当の意味で克服するために - カウンセリングやEMDRをはじめとした心理療法

セルフケアだけでは届きにくい「トラウマ」という根っこ

セルフケアは、あなた自身でできる、とても素晴らしい癒しのプロセスです。しかし、アダルトチルドレンの生きづらさの根っこには、**「トラウマ」**という、一人で向き合うにはあまりにも深く、そしてデリケートな傷が存在することが少なくありません。

特に、フラッシュバックやコントロールできないほどの強い感情の波は、無理に一人で何とかしようとすると、かえって心が不安定になってしまう危険もあります。安全な場所で、専門家のサポートを受けながら心の傷を丁寧に癒していくプロセスが、本当の意味での回復には不可欠だと言えるでしょう。なお、親から受けたトラウマの影響に関する基礎的なお話は、子どもの頃の親子関係におけるトラウマの影響、というページで解説しております。併せてお読みいただけますと幸いです。

秋葉原心理オフィスMAYは、あなたのトラウマに寄り添います

秋葉原心理オフィスMAYは、このような「親子関係からくるトラウマ」も専門に扱うカウンセリングオフィスです。あなたの苦しみがどこから来るのかを一緒に丁寧に見つめ、あなたに合った方法で、心が本当に安心できる状態を目指してお手伝いをします。

【当オフィスの心理療法】カウンセリングで「過去の記憶」をどう乗り越える?

当オフィスでは、ご来談者様一人ひとりの心理状態やニーズに合わせて、**EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)**をはじめとする様々な専門的な心理療法を提供しています。特にトラウマケアに有効だと世界的に認められているEMDRは、辛い過去を詳しく話す必要があまりなく、カウンセラーの誘導のもと、脳の神経系に直接働きかけ、記憶を自然に処理していくのを手伝います。その結果、トラウマ記憶が消えるわけではありませんが、思い出した時に感じる胸の苦しさや体の反応が和らぎ、冷静に過去を振り返ることができるようになります。

あるクライアント様の事例

Aさん(30代女性、会社員)は、職場で上司に少し注意されただけで、子供の頃に親から激しく叱られた記憶がフラッシュバックし、動悸と手の震えが止まらなくなることに、ずっと悩んでいらっしゃいました。

カウンセリングでEMDRを行ったところ、セッションを重ねるうちに、上司に注意されても、過去の記憶と結びつけてパニックになることがなくなっていきました。「注意されたことは事実として受け止めて、次に活かそう」と、落ち着いて考えられるようになったのです。Aさんは、「長年、私をがんじがらめにしていた鎖が、一つふっと外れたような感覚です」と話してくださいました。

(※これは比較的よくうかがう複数の事例を守秘義務に基づき、特定の個人が特定できないよう加工した架空の事例です)

過去は変えられません。でも、過去の記憶が「今のあなた」に与える影響は、変えることができます。 カウンセリングは、そのための、とても優しくて力強い方法の一つなのです。

おわりに:あなたはもう一人ではない。自分らしい人生を取り戻すための一歩を

ここまで、アダルトチルドレンの正体と、その苦しみから回復するための道のりについて、お話ししてきました。

  • アダルトチルドレンは、あなたのせいではなく、育った環境からくる「状態」だということ。
  • その根っこには、「自分は大切にされる価値がある」と感じられなかった、「親子関係のトラウマ」があること。
  • セルフケアで自分をいたわりながら、カウンセリングで専門家と一緒に根本原因にアプローチすることが、回復への確実な道になること。

もしあなたが、今この瞬間も「私が悪いんだ」と、ご自分を責めてしまっているのなら、難しいかもしれませんが、できうる範囲で、その言葉は「本当かな」とささやかでも疑問をもっていただけますと幸いです。

あなたはこれまで、たった一人で、本当によく頑張ってこられたかとお察しいたします。また、気づいてか気づかずか、効果の有無を問わず、心の苦しさに対して様々な工夫や対処をされてきたかと思われます。自分のための人生を取り戻すための工夫の一つに、あなたの苦しみについて専門家と分かち合うことを選択肢の一つに加えていただけますと、ご自身を癒すための道筋が広がるかと思われます。もし「普段話しづらいことの話だけでも聴いてほしい」と感じたら、一人で抱え込まずに、どうぞご連絡をください。あなたの伴走者として、心理療法やカウンセリングをご提供できればと存じます。

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