心の悩みを打ち明けることへの迷い(後編)

 心の悩みを人に相談すること-。

 身近な信頼できる人であっても、相談するまでに様々な葛藤や抵抗感が多かれ少なかれ生じることは珍しくありません。

 前回、前編ではできれば自分でどうにかしたいと思う心理についてお伝えいたしました。

 簡単に振り返ると、①「心の悩みならどんなことでも自分だけで解決しなければ…」という心理、②悩みを打ち明けることの恥ずかしさ、③自信を失いたくない心理の3点が考えられます。

 そして、悩みそのものの解決を目指すことも大切ですが、悩みを誰かに相談しようとする際に働く心理を知ることも大切あることを解説いたしました。

 その理由は、悩みを誰かに相談しようとする際に働く心理を知ることで、悩みへの向き合い方や自分にとって悩みがどれくらい重いものかを知るきっかけとなり、その人に合った解決方法を見出す材料になるからです。

 

 今回、後編では、身近な人に相談しようと決心した時に働く心理についてお伝えしたいと思います。

 前編と同様、悩みを打ち明けようと思うまでの心の動きを知ることは、悩みとの向き合い方、自分にとってその悩みの重さはどれくらいなのか、ということを知る手がかりになるはずです。

 そして、その手がかり知ることは、その人に合った解決方法を見出すための一つの材料になります。

目次

①そもそも話が伝わるかどうか心配

②話したことでどう思われるか気になる

③アドバイスが欲しい場合と、気持ちを汲んでほしい場合と

④どこまで話して良いのか、相手に対する申し訳なさ

⑤まとめ

そもそも話が伝わるかどうか心配

 心の悩みの場合、多くは主観的なテーマになります。また、自分でも「こんなことで悩んでいるのは変」と思っていることも多いものです。

 言い換えれば、理屈では説明できないことに悩まされているという感覚です。

 自分でも理屈に合わないことで悩んでいると思うと、わかってほしいけど何故悩まされているのかうまく伝えられないし、うまく伝えられなければ相手にも伝わらないのではないかと思ってしまうこともあります。

 そうなると、勇気を出して話して良いものかどうかという悩みにつながります。

 それでも打ち明けてみたら、場合によってはわかってもらえたという感覚になれる場合もあります。

 逆に、やっぱりわかってもらえなかったという場合もあるでしょう。

 例えば、トラウマになる出来事であれば「ずいぶん昔のことなのに思い出したくないことを何度も思い出す」、「悲しくないのに涙が出てくる」、恐怖症であれば「よくわからないけど〇〇が異常に怖い」、不安障害であれば「大丈夫と思っていても常に不安になる」、など多くの例があります。

 いずれの例もなぜ悩まされているのかわからない、また、人に伝わりそうで伝わらない悩みではないかと思いやすく、相談することに迷いが生じやすくなります。

話したことでどう思われるか気になる

 理屈だけで考えると、自分でも変かなと思っていると、これから話そうと思う相手にも「変だ」と思われそうな気がすることがあります。

 また、例えば、「弱い」と思われるのではないか、「自分で解決できない人」と思われるのではないかと不安になることもあれば、「話して嫌われたらどうしよう」という場合もあるかもしれません。

 悩んでいることに対してダメ出しされたり、叱咤激励されるのではないか、また、求めていないのにアドバイスをされるのではないかと思うこともあります。

 過去にそうした経験があればなおさらなことでしょう。

 ダメ出しや叱咤激励が絶対良くないということはないのですし、そうしたことによって気持ちが奮起することもあります。

 アドバイスも同様です(アドバイスの内容やタイミングにもよります)

 そのため、ダメ出しや叱咤激励、アドバイスが必要なこともあるかもしれません。

 ですが、勇気をもって話す前に「どう思われるだろう」、「何を言われるだろう」という不安の中、詳しく話す前にダメ出しをされれば嫌ですし、アドバイスも同様で「それができれば苦労しない」と思う内容のこともあるかもしれません。

 どう思われるか、何を言われるだろうかと考えているうちに、そもそもの悩みについて何から話せば良いのか、どうしたら良いかわからなるという事態に陥ってしまうこともあります。

アドバイスが欲しい場合と、気持ちを汲んでほしい場合と

 もちろん、何はともあれアドバイスを期待して打ち明けることもあるでしょう。

 聴いたアドバイスが役に立つかどうかは別として、アドバイスをもらえると「真剣に考えてもらえている」と思うこともあります。

 逆に相談した相手が困った顔をしたまま、何のコメントも言ってもらえないと、もうどうにもできないのではないかという気持ちに陥ることもあります。

 ただ、自分がアドバイスを求めていない時、または、アドバイスを受けても平気でいられるだけの心の構えができていない時にアドバイスをされると、不本意な気持ちにもなりえます。

 例えば、アドバイスよりも気持ちを汲んでほしい、ひとまずひととおり話を聴いてほしいと思っている時に、アドバイスをされると聴いてもらえていない感覚になります。

 そんな時、「アドバイスが欲しいわけではない」と言えれば少しは気持ちも変わってきますが、「せっかくアドバイスをしてもらえた」と思うと、自分の気持ちがわがままなように思えて、相手に申し訳ない気持ちになることもあります。

 相談した相手に申し訳ない気持ちになることは珍しいことではなく、申し訳ないという気持ちがあると相談しようと思いにくくなります。

どこまで話して良いのか、相手に対する申し訳なさ

 「話を聴いてもらっている」、「善意でアドバイスをしてもらっている」と思うと、悩み続けていることに申し訳ない気持ちになることもあります。

 そして、本当はまだわからないこともあるし、未解決なところも多くあるけど、ひとまずその場は「気持ちがすっきりした」、「言われたことをしてみる」と答えざるを得ないこともあります。

 あまり深い話をすると、相手も困ってしまうと思うと、どこまで話して良いものかという悩みも出てくるでしょう。

 また、いつも同じような内容のテーマを相談することも気まずい気持ちになりやすいでしょう。

まとめ

 悩みが自分にとって重ければ重いほど、上記①~④の悩みに対する悩みが生じやすくなるようです。もちろん①~④以外の心理も働くかもしれません。

 逆に自分にとってそれほど悩みが重いものでなければ、①~④の悩みは原則として生じにくくなるように思われます。

 悩みを打ち明けようとする際の心の動きを知ることも、自分にとって悩みの重さがどの程度で、どうやって向き合おうとしているのかを知ることになり、ひいては解決に向けて自分は何を求めているのかということを知る手がかりになりえます。

 前編、後編と長くなってしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。

 今回と前回でお伝えしたことで、悩みそのものの解決だけではなく、自分が悩みに対してどのように向き合っているのか、どれくらい重いのかということを考えてみるきっかけになること、その上でどのように解決に向けて進めば良いかというヒントになれれば幸いです。