心の専門家に相談を決心するまでの心のプロセス(前編)

 心の悩みが生まれたとき、まずは自分でどうにかできないかと思うものです。

 自分では難しいと思ったとき、身近に相談できる人がいれば、まずは身近な人に相談しようと思うこともあります。

 自分で改善方法がわからない、身近な人に相談しても解決しない、そもそも相談できる人がいない、親しい人でも内容的に話しにくいという場合、自分の悩みに関わるキーワードを入れてインターネットで検索してみる場合も多いと思います。

 キーワードにもよりますが、検索しているうちに精神科・心療内科や心理カウンセラー、精神保健福祉士など心の悩みに関する専門家の存在を知ることもあります。

 心の専門家がいることを知り、相談しようかどうしようか考え始めた際、すぐ相談に行こうと決心する場合もありますが、決心するまでにいろいろ考え、迷うことも多いと思います。

 今回は、心の専門家に相談しようと考え始めた時の迷いや葛藤、決心に至るまでの心のプロセスについて、前編と後編に分けてお伝えしていきたいと思います。

 前編では情報収集の段階を中心に、後編ではある程度情報が得られてから働く心理を中心にお伝えしていきたいと思います。

~目次~

①インターネットで検索する中で

②少しでも情報が欲しいと思う心理

③コストパフォーマンスの検討

④まとめ

インターネットで検索する中で

 心の悩みに限らずどのような悩みであっても、自分なりに原因や改善方法を考えてわからない場合、悩みに関するキーワードから原因や改善方法について情報を収集する場合も多くあります。

 心の悩みの場合も同様で、キーワードをいくつか考えてインターネットで改善に関わる情報がないか探す方も多くいらっしゃると思います。

 キーワードの選び方は、心の悩みの内容や原因、自分の状態をどのように捉えているかによって異なってきます。

 また、どのような改善方法を望んでいるかによっても異なるでしょう。

 検索キーワードによっては、自分と同じような心の悩みを克服した人の体験談を見つけることもあれば、自分の悩みについて原因や対処法を解説しているサイトがヒットすることもあるでしょう。

 ヤフー知恵袋のような匿名で悩みを投稿し、回答を募るようなサイトもあります。

 実際試してみる方もいらっしゃるかもしれませんし、試さなくても他の投稿者の悩みとそれに対する回答が自分の悩みに近い場合、参考になる場合もあるかもしれません。

 心の悩みは精神科的な症状と密接につながっている場合が多いため、検索しているうちに、精神科・心療内科の病院やクリニックのウェブサイトに行きつくことも多いと思います。

 心理療法・カウンセリングを専門とする機関のウェブサイトがヒットすることもあるでしょう。

 近年の精神科・心療内科のウェブサイトでは精神疾患の内容や原因、治療方法、対処方法などが説明されていることが多くなっています。

 心理療法・カウンセリングを専門とする機関のウェブサイトでも同様の傾向が見られつつあります。

少しでも情報が欲しいと思う心理

 調べている中で悩みの原因や対処法がわかって、自分なりにどうにかできるようになることもあります。そうではない場合、専門機関の利用を引き続き検討することもあります。

 どのような専門機関であっても、調べて最初に見つけたウェブサイトだけを見て即断する、ということは少ないかと思われます。

 たいていの場合、いくつかのウェブサイトを比べながら、どこが良いか検討することが多いと思います。

 検討する際の最初の基準は、信用できそうかどうかということではないでしょうか。

 ただ、その機関のホームページだけを見て最初から完全に信用できると思えないことの方が自然です。大なり小なり信用できるかどうかは気になるところでしょう。

 信用できそうかということもさながら、仮に調べた機関に行って、自分の心の悩みが良くなるのかどうなのかということも同時に気になるところだと思われます。

 心の悩みの場合、医療機関の方が良いのか、それとも心理療法・カウンセリングの方が良いのか、ということも含まれます。

 たとえ、調べた機関の医師やカウンセラーが信用できそうであっても、今もっている心の悩みに対応できないとしたら選択肢からはずれるでしょう。

 そのため、信用できるのかどうかということと、自分の心の悩みに対応できるのか、良くなるのかということに関する情報について、その機関のホームページに掲載されているかどうかを調べたくなります。

 実際に行ってみないとわからないことがあると思っていても、その機関のサイトに自分の悩みに関する情報がないか、少しでも事前に情報が欲しいと思う気持ちが働きます。

 この時、事前の情報があまりに不足していると、最初の一歩を踏み出しにくく、逆に情報が多くなるほど結局どこが良いのかわからなくなる、ということも起こりえるでしょう。

コストパフォーマンスの検討

 信用できそうか、かつ今もっている心の悩みに対応できるのか、ということに加えてもう一つ大きな検討基準としてコストパフォーマンスの検討があります。

 候補の機関が見つかったとしても、地理的に遠すぎる、費用的な条件で合致しない、という場合は選択肢からはずれるでしょう。

 その際、どこまでの距離だったら頑張っていけるか、どれだけの費用であったら何とかできそうか、ということを意識的、無意識的に考えることもあると思います。

 通常、期待される効果や何をどこまで求めるかということに合わせて、可能な限りコストはなるべく抑えてどうにかしたいと思うことが一般的でしょう。

 また、少しでも効率の良い方法を求めたくなるのも自然なことです。

 確かに心の悩みの改善を目指すうえで、たくさんコストをかけさえすれば結果が必ず出る、ということでもありません。

 加えて、日常生活があっての心の悩みのケアです。日常生活に大きな支障を出してまで、心の悩みの改善を優先して良いものでもないでしょう。

 とはいえ、今もっている心の悩みにどれだけの労力や費用、時間を充てられるかということは、心の悩みをどれだけ重視しているか、改善を優先したいかということにもつながります。

 そのため、仮にコストが全くかからないと心の悩みの改善の優先度が低くなることが多く、結果として期待する効果を全く得られないということもあります。

 何を優先するか、どこまでなら心の悩みの改善に充てられるか、ということの検討も心の悩みへの向き合い方の一つと言えます。

まとめ

 今回前編では、心の専門家への相談を考え始めた際の心のプロセスについて、情報収集段階における心理についてお伝えしました。

 インターネットで検索しながら、候補の機関を比べながら、信用できるのか、自分の悩みは対応可能なところなのか、コストをどれくらいかけられるのかという検討があると思います。

 信用できそうかまたは改善しそうかということと、必要そうなコストのどちらに重きを置いて検討するかも人それぞれ異なるはずです。

 とはいえ、どの程度のコストをかけられるかということも心の悩みとの向き合い方を知るヒントになりえます。

 この段階でも迷いながら「やっぱり自分でどうにかできないかな、そもそも専門家に相談するほどのことなのか」という考えが出てくることもあるでしょう。

 次回、後編ではある程度情報が集まってから生まれる心理についてお伝えしていきたいと思います。

 ここまでお読みいただきありがとうございました。