第1部継続できる場合とできない場合
基本的に心理療法・カウンセリングは継続することで効果が徐々に実感されることが多いものです。
「一度受けてみて気持ちがすっきりしたから大丈夫」という場合もある一方で、お悩みの内容によっては、短期間ではすぐに改善しないこともあります。
仮に心理療法・カウンセリングを続けていくことを希望されるとしても、継続に関して疑問や気になることもあるかと思われます。
そこで、今回を含めて3部に分けて、心理療法・カウンセリングの継続にまつわる疑問と回答を、Q&A形式でまとめました。
今回第1部では、心理療法・カウンセリングを継続できる場合とそうでない場合、もし継続できない場合、どのようなご対応が可能か、また、続けて受けていただく場合の留意点を中心にお伝えいたします。
~目次~
Q1.どのような場合であれば心理療法やカウンセリングを継続して受けることができますか。
Q2.初回カウンセリングで継続が難しい場合、どのような対応をしてもらえますか。
Q3.トラウマや不安障害、心身症以外のことで継続してご相談することはできませんか。
Q4.他のカウンセリング機関でカウンセリングを受けていますが、並行して継続することはできますか。
Q5.他のカウンセリングと比べてみてから継続するかどうかを決めても良いですか。
Q6.継続する場合、メールや電話など通信手段を介したカウンセリングは可能ですか。
Q7.カウンセリングを続けて受ける場合、その回ごとに準備するものはありますか。
Q1.どのような場合であれば心理療法やカウンセリングを継続して受けることができますか。
このご質問への回答は以下の4点が挙げられます。
(1)日常生活の基本的な活動がある程度できている状態であること。
例えば一人で食事、着替え、入浴などができていること、また、ある程度の言葉のやり取りができること、自傷他害の恐れがないことが挙げられます。
こうした基本的な生活活動が明らかにできない場合、何らかの重い精神疾患(例えばうつ病や統合失調症等)が発症している可能性もあります。
そのため、まずは医療機関への受診をお勧めいたします。
また、自傷や暴力などで自分や自分以外の誰かを傷つけてしまうことを止められない、あるいはその恐れがある場合も、医療的な保護が必要になります。
(2)直近において、ある程度安全が確保されていること。
例えば、もし現時点でDVやいじめ、パワハラ、虐待などを受けている、あるいは今後受ける危険の可能性が高い場合は、まずはそうした事態への対策から考え、身の安全を確保するための相談から始められることをお勧めいたします。
(3)最低限のマナーを守れる方。
ほとんどいらっしゃいませんが、料金の支払いができない、心理療法中暴力をふるうなど暴れてしまう、心理療法中食事や飲酒(普通のお飲み物であれば大丈夫です)をする場合は困難です。
(4)心理療法やカウンセリングを受けることをある程度納得されている方。
ご本人様以外に受けてほしいということで連れてこられた場合、最初は不本意でも「多少は受けてみようかな」というお気持ちがあれば大丈夫です。
ご本人様がどうしても受けたくない、納得がいかないという場合は困難です。
Q2.初回カウンセリングで継続が難しい場合、どのような対応をしてもらえますか。
いただいたお話をまとめ、心理学的にどのような状態にあると考えられるかを記載した所見書を、ご希望に応じて作成させていただきます。
医療機関をはじめ、必要な相談機関に行かれる際にお持ちいただければ、お話の概要が伝わるかと思われます。
作成までには長くて2週間を要しますが、初回分の作成はカウンセリング代に含まれておりますので別途費用がかかることはございません。
お渡しの方法については、日時を調整していただき直接手渡しでお渡しさせていただいております。
Q3.トラウマや不安障害、心身症以外のことで継続してご相談することはできませんか。
トラウマや不安障害、心身症に関すること以外でもご相談いただくことは可能です。
例えば、アダルトチルドレンや愛着の問題、恐怖症、HSP、性格に関すること、人間関係のこと、進路や離転職にかかわること、今後の生き方に関することなどご相談いただくことも可能です。
継続される中で、改善を目指したいお悩みが変わることはあります。お話をうかがいながらその都度すり合わせながら進めていくことができます。
Q4.他のカウンセリング機関でカウンセリングを受けていますが、並行して継続することはできますか。
医師による治療との並行であれば可能ですが、カウンセリングについては原則として同時並行で受けることはお断りしております。
二人以上のカウンセラーのもとに通われると、かえって混乱を招いてしまうことが多いからです。
ただ、他の機関でカウンセリングを受けておられても、第三者の意見や見立てを知りたいというような、一時的なご相談であれば可能です。
また、その上で当オフィスに替えたいという場合、対応が可能であれば替えていただくこともできます(逆もあります)。
ただし、いずれの場合であっても、継続しているカウンセラーとよくお話されることをお勧めいたします。
お話しされることで、今受けているカウンセリングが進展することも多くあります。
Q5.他のカウンセリングと比べてみてから継続するかどうかを決めても良いですか。
それでも大丈夫です。初期の段階であれば、相性が合うかどうか、進め方に納得できるかどうかということも気になると思われます。
ただ、相性にこだわりすぎて、頻繁に変えてしまうとなかなか進むことができなくなってしまいます。
Q6.継続する場合、メールや電話など通信手段を介したカウンセリングは可能ですか。
メールでは簡単なご質問であれば回答させていただくこともできますが、メールだけでのカウンセリングは専門ではないためお受けいたしかねます。
電話は設置しておりますが、カウンセリングや、他の業務によって出られないことも多いため、原則としてお電話でのご対応は控えさせていただいております。
Q7.カウンセリングを続けて受ける場合、その回ごとに準備するものはありますか。
原則として、必須のものはありませんが、必要になりそうなものは事前にお伝えいたします。
初回カウンセリングの場合で、どちらか心療内科・精神科を受診されている場合は、可能であれば紹介状や服薬されているお薬の種類がわかるものをお持ちいただけるとお話を進めやすくなります。
2回目以降、継続して心理療法・カウンセリングをお受けになる場合で、心療内科・精神科を受診される場合は、主治医の同意を得ることをお願いしております。
その他、何らか必要になりそうな場合は、その都度ご案内いたします。
心理療法・カウンセリングは絶対的に継続しなければいけないものではありませんが、継続しようかどうしようか迷われることもあるかと思われます。
第2部では、どのような場合に心理療法・カウンセリングを継続した方が良いのか、継続するとしてもどれくらいのペースでどの程度の期間が必要なのか、ということについてお伝えしたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。