トラウマの特徴と影響その②~具体例~

 前回その①では、トラウマの特徴と影響に関する仕組みをお伝えいたしました。

 

 簡単に振り返ると、日常的なストレス体験がトラウマとなりえるのは、その体験が心の中のポジティブな記憶と結びつかないためです。

 

 ポジティブな体験と結びつかないストレス体験は、心の中で異物として残り様々な影響を及ぼし、また心の悩みを生みます。

 

 今回その②では、異物として残ったトラウマ体験がどのような影響を及ぼすか、あるいはどのような心の悩みを生みやすいか、具体例を挙げていきたいと思います。

 

~目次~

(1)トラウマによって生じる心の悩みの一例

(2)トラウマケアを図ることとその人の生き方

(3)まとめにかえて

 

(1)トラウマによって生じる心の悩みの一例

 

 以下が一例です。思い当たる節もあればそうでないものもあると思います。

 

自分や自分以外の人に対して否定的な捉え方をしやすくなる。例えば、“自分は弱い“、”自分は変だ“、”周りの人は自分を嫌っている”、”人に見下されている”、など。

 

繰り返し、または突然思い出したくないことを思い出してはネガティブになる。あるいは夢に出てくる。

 

身体に原因があるわけではないのに(病院でも検査してもらって異常がないのに)、体に何らかの症状や反応がある。例えば、ふと胸が苦しくなる、ある場面にくると息が苦しくなる、など。

 

何かに対して過剰な恐怖心、不安感をもちやすい。また、悲しいと感じていないのに自然と涙が出てくる。

 

何か気が休まらない。焦る気持ちが出やすい。またイライラしたり怒ったりしやすい。

 

嫌な思い出を思い出すきっかけを目にしたり、耳にしたり、何らかの形で認識すると感情が揺さぶられたり、体に反応が出たりする。

 

そのため、直接的、間接的に思い起こさせるきっかけを避けようと過剰に頑張ってしまう。

 

そのきっかけと対象がどんどん広がり生活しづらくなる。同時に感情が揺さぶられやすくなったり、体に反応が出やすくなったりする。

 

信じたい人のことが信じられない。あるいは人との関係がうまくいかない。

 

人の反応に過敏になったり、顔色をうかがったりしてしまう。そのため嫌なことを嫌と言えない、または思えない。

 

パートナーやこどもなど、愛したい人愛したいのに愛せない。また、友人を素直に尊敬できない。

 

過去の失恋など、人との別れをいつまでも忘れられずひきずってしまう。

 

見捨てられるのではないか、という不安が消せない。

 

物覚えが悪い、判断ができない。集中できない。

 

医学的には問題ないはずなのに、何らかの痛みがずっと残っている。

 

 以上はあくまで一例ですので、上記以外の心の悩みにもトラウマが影響していることはありえます。

 

 基本的には、今の悩みが深いほど長く続いているほど、トラウマの影響による可能性が大きいことが考えられます。

 

 トラウマについて、自分で自覚している場合もあれば、自分では気づかない出来事の記憶がトラウマとして残り、影響していることもありえます。

 

 また、こうしたトラウマによる影響がPTSD(心的外傷後ストレス性障害)をはじめとして、様々な精神疾患を引き起こすきっかけ、または精神疾患を維持させる要因として機能する場合もあります。

 

 例えば、上記②はPTSDの症状の一つであるフラッシュバックとなりえますし、③や④はパニック障害、社交不安障害などの不安障害となりうることもあります。

 

 心身の症状が明らかに生活に支障を及ぼしているようであれば、心療内科や精神科などの医療機関を受診し、お薬による治療を受けられた方が良いこともあります。

 

 ただ、お薬による治療を受けて症状が改善したことで悩みが消える場合もありますが、そうでない場合もあります。

 

 どうしても消えない悩みが残り、苦しさや辛さが軽くならないあるいは軽くなったとしても、どうも釈然としない気持ちが残り続けてしまうというお話もよくお聴きします。

 

 その場合は、お薬による治療に加えて、心理療法・カウンセリングを受けられた方が良いかもしれません。

 

(2)トラウマケアを図ることとその人の生き方

 

 とはいえ、良くならないからすぐに専門的なケアをしなければいけない、というわけではありません。

 

 あえて、トラウマや悩みをそのままにして生きていくという選択をされる方もいらっしゃるかと思います。

 

 そうであったとしても、その方がどのような生き方を望むのか、自分の意思で選択をしていくということにも深い意味があります。

 

 ですので、トラウマケアだけが唯一無二の選択肢ではありません。

 

 ただ、もし、トラウマによる影響や悩みをもう一歩どうにかしたい、という場合は心理療法・カウンセリングをご検討いただければと思います。

 

 心理療法・カウンセリングは、上述したお悩みを緩和するための一つの手段としてお役に立てると思っております。

 

 

(3)まとめにかえて

 トラウマの特徴と影響について、その仕組みと具体例についてその①とその②の2部に分けて説明させていただきました。

 

 両方、あるいはどちらか片方であったとしてもお目通しいただきありがとうございます。

 

 今後もトラウマに関わらず、心の悩みに関するテーマについて専門的な知見を踏まえつつ、私なりに経験してきたことをまとめてお伝えしていければと思います。

 

 今後ともよろしくお願いいたします。